東京都水素モビリティ・ステーション普及加速化総合支援事業

株式会社ローソン様

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コンビニエンスストアの物流は24時間ノンストップ。課題はその状況下でCO2排出量をいかに削減するか。

株式会社ローソン様

商品本部 ロジスティクス部 黒葛原 恵美様

24時間営業のコンビニエンスストアでは、各店舗へ商品の安定供給を行うため、毎日の配送業務が欠かせません。
株式会社ローソンでは、「Lawson Blue Challenge 2050!」と題し、脱炭素化や環境負荷低減といったさまざまな長期目標を掲げ、物流業者との連携のもと、数年前からFCV(燃料電池自動車)やEV(電気自動車)、バイオディーゼル車などの導入を進めてきました。

POINT
  • FCV導入により、物流センターから店舗間の物流で脱炭素化を推進
  • AI活用で配送ルートを最適化し、配送効率の向上と環境負荷低減を同時に実現
  • パートナー企業と環境意識を共有し、支援策を活用した連携でFCV導入体制を構築

24時間営業を支える、物流における脱炭素の重要性

コンビニ業界においても、脱炭素への取組は避けて通れない経営課題の一つに挙げられています。なかでも物流分野におけるCO2排出量削減は重要なテーマ。ローソングループの物流は基本的に外部委託で運営されており、今回はFCV(燃料電池車)を稼働させている物流拠点である物流センター「西東京DDC」にて、商品本部 ロジスティクス部の黒葛原さんに取組の現状を伺いました。

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商品本部 ロジスティクス部 黒葛原 恵美様

黒葛原さん「当センター西東京DDCでは、主に常温商品を取り扱い、神奈川県の一部および西東京・八王子エリアの店舗への商品管理・配送を担っており、約40台のトラックのうち1台がFCVです。FCVは従来のトラックと比べ、やはり音が静かなのが大きな特長ですね。24時間営業のコンビニエンスストアの物流において夜間の配送は欠かせません。特に住宅街では騒音が気になります。FCVだとアイドリング音が気にならず、夜間の商品搬入も安心です。また、ドライバーさんたちからは、振動が少ないので乗り心地がよく、長時間乗っていても快適と高評価の声をいただいています」

また、車両そのものの環境性能だけでなく、同社では配送効率の向上によるCO2削減にも取り組んでいるのだとか。AIを活用した配送ダイヤの最適化がそれにあたります。

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走行時はモーター音のみで、至近距離でも騒音が気にならない

黒葛原さん「2.5tのFCVは航続距離が約260km。1台で複数店舗を回る際のルート設計が重要になります。私たちは効率的な回り方をAIによって導き出し、現実的な運用を可能にしています

一方で、現時点ではFCVのみでの運用は難しく、EVやバイオディーゼル車など他の環境配慮型車両との併用が不可欠です。その背景には水素ステーションの立地や営業時間の制約があります。

黒葛原さん「FCVの利活用には近隣に水素ステーションがあることが前提で、コンビニ配送の場合、毎日の燃料充填が必要になってきます。しかし、水素ステーションには定休日や営業時間の制限があるんですね。安定運用にはそういった課題が残っています。こうした制約を踏まえつつも、環境負荷低減に向けて無理のない範囲での取組を継続していく方針です」

FCV導入を支えた、荷主と協力企業の危機意識共有

ローソングループでは、店舗における食品ロス、プラスチック使用量の削減、冷蔵ケースへの扉設置などによる省エネ、自然冷媒への切り替えなど、全社的に環境課題への対応を進めています。その流れの中で、物流分野においてもCO2排出量削減が重要なテーマとして位置づけられています。

黒葛原さん「物流は車を走らせないと始まらないという領域であるため、排出量削減の観点からはFCVの活用が最も効果的だと考えています。併せてEV車の追加導入の検討や、現行のバイオ燃料ディーゼルによる環境負荷低減も一定の効果を果たしています」

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FCV導入にあたっての経緯をお聞きすると、委託業者との連携がいかに大切だったかが窺い知れます。

黒葛原さん「脱炭素への取組は企業としての責務である一方、実際に車両を購入・管理・運用するのはパートナーの物流企業さんとなります。そこで、荷主である私たちがリスクヘッジを担う形で、FCV導入へのご協力を依頼させていただきました。FCVは高額な投資であることから、委託企業さんに不利益が生じないよう、補助金制度や燃料供給体制について丁寧にご説明を行い、相互理解を図るプロセスを設けたのです。導入当時は、安全性や安定稼働に関するデータも十分ではありませんでしたが、それでもCO2削減に向けた取組を進める必要があるという問題意識が共有でき、最終的に導入を実現することができたんです」

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荷台サイドドアの下に配置されている水素タンク

現在、グループ全体で保有するFCVは7台に増え、当センターに配備されている常温車両のほか、別エリアの物流センターでは冷蔵・冷凍車も活躍しています。それぞれ日常のローテーションの一部として実用的な稼働が続けられているようです。

なお、こうした取組は「グリーンイノベーション基金事業」※1などの支援制度にも支えられています。

水素モビリティ拡大に向け、わかってきた課題と今後への期待

2025年9月現在、商用車向け水素ステーションの整備数は都内で30基。一般的なガソリンスタンドに比べて数が限られています。そのため、深夜帯の利用を含め、運用面で工夫が求められる場面もあります。

西東京DDC
FCVが配備されている西東京DDC

ローソングループのFCVは基本的に毎日同じルートを計画的に走行し、事前にステーションへ燃料充填時間を申告したうえで運用されています。当センターが契約するのは、グリーンイノベーション基金事業の実証に伴い、八王子高倉水素ステーションの1か所のみ。万一の際には配送が止まってしまう可能性も否定できません。

黒葛原さん「コンビニエンスストアは24時間営業している中での配送ですが、当センターのFCVは八王子の水素ステーションが頼みの綱で、何かあったときのバックアップがないのは少々不安です。FCVの台数比率を大幅に増やしたいと思っていても、実際には難しいのが現状です」

また、車両ラインナップの拡充も重要な課題です。現在主流の小型FCVは積載量約2.5t、航続距離約260kmですが、その上位車種は物流センター~店舗の配送には不向きな10t規模の大型車。中間レンジとなる4tクラスが増えれば、運用の柔軟性が大きく向上するのではないかと黒葛原さんは語ります。

黒葛原さん「車両サイズが大きくなれば燃料充填の回数を減らせますし、航続距離の延伸も見込めます。運用する側としては選択肢の幅が広がってくれるとありがたいんですよね。それでも、東京や福島といったエリアで実証実験を重ねていくうちに見えてきた可能性もあるんです。東京で導入済の4台の実績を調べたところ、理論上の平均航続距離が276kmに伸びました。外気温影響によって燃費が変化したということです。さらに福島では、店舗と店舗の間隔が長く、信号の少ない幹線道路や高速道を走ります。そのため航続距離が300km近くにまで伸びることがわかってきました。こうしたデータを活用して、より効率的なルート設定を試行するなど、さまざまな数値を〝見える化〟して今後のさらなる導入方法を検討していく予定です」

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荷台リアにもFCEVの文字
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荷主と物流企業の協力で実現したFCV導入

黒葛原さん「FCVの導入は、騒音対策や労働環境の改善、さらには従業員のモチベーション向上にもつながっているという目に見えたメリットが多々あります。課題はいくつも残っていますが、他の事業者さんや自治体と連携し、オープンなパートナーシップを育んでいくことで、解決策の創出を目指してまいります」

最後に、FCV導入を検討する企業に向けて、黒葛原さんからメッセージをいただきました。

黒葛原さん「CO2削減は地球温暖化対策の一環として、企業が取り組むべき重要な課題です。確かに、FCVを1台導入しただけでは大きな効果は見えにくいかもしれません。でも、少しずつ取り組みを広げていくことで、環境負荷の低い車両が社会に増え、結果として温暖化防止につながっていくと考えています。まずはFCVを知っていただき、実際に使ってみることが大切です。私たちローソングループの小さな一歩が、皆さんの一歩を踏み出す勇気につながることを願っています」

企業プロフィール

会社名
株式会社ローソン
所在地
東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー
事業内容
コンビニエンスストア「ローソン」のフランチャイズチェーン展開
従業員数
11,928名
取材撮影
2026年1月

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