第5回スマート物流EXPO イベントレポートPart2
先行企業のプレゼンテーションを
ダイジェストでご紹介します!
水素モビリティの利活用促進を目的に開催された今回のイベント。東京都の出展ブースでは、すでにFCV導入や実証実験に取り組む事業者、水素ステーション運営予定事業者などにご協力いただき、各社約20分のプレゼンテーションを実施しました。本記事では、その発表内容をコンパクトに紹介します。
イベントの概要・ブースのご紹介については、こちらの記事をご覧ください。
第5回スマート物流EXPO イベントレポートPart1
特別展示エリア「トラックワールド」に東京都がブースを出展しました!
第5回 スマート物流EXPO「トラックワールド –トラックに関わるすべてが集まる専門展-」
会期:2026年1月21日(水)〜23日(金)
場所:東京ビッグサイト|西棟4F
プレゼンテーションタイムテーブル
※社名をクリックすると、各社の詳細ページへ移動します。
1月21日(水)
11:00~ 合同会社海の森水素ステーション
12:00~ 佐川急便株式会社
14:00~ 岩谷産業株式会社
15:00~ 佐川急便株式会社
1月22日(木)
11:00~ 合同会社海の森水素ステーション
12:00~ ヤマト運輸株式会社
14:00~ ヤマト運輸株式会社
15:00~ Commercial Japan Partnership Technologies 株式会社
1月23日(金)
11:00~ 株式会社ローソン
12:00~ 岩谷コスモ水素ステーション合同会社
14:00~ 株式会社ローソン
15:00~ 日野自動車株式会社
東京都の水素エネルギーの需要拡大・早期社会実装化に関する取組をご紹介
気になる現場の声が、協力企業各社から届けられました
会期中の3日間、当ブースでひときわ賑わいをみせていたのが参加企業各社のキーマンによるプレゼンタイムです。会場内にあらかじめご用意されたシートは毎回満席。観覧席のみならず、往来する多くの来場者が立ち止まり、熱心に耳を傾けていらっしゃいました。
ここでは各社の発表内容をダイジェストでご紹介していきます。

海の森水素ステーション事業紹介
合同会社 海の森水素ステーション 鈴木 伸佳様
2027年4月に開所予定の「海の森水素ステーション」は、物流大手の上組と、豊田自動織機グループ企業2社で構成される共同運営会社が建設を進めています。同ステーションは、FCフォークリフト用とFCV用の両ディスペンサによる充填が可能になるマルチ型水素ステーション。隣接する多目的物流センター内のフォークリフトのFC化を進めるだけでなく、大型FCトラックへの高速充填が可能なツインノズルディスペンサーを設置し、東京港カーボンニュートラルポート推進へ貢献します。発表の中では、港湾物流の脱炭素化を支える基盤インフラとしての役割が示されました。


佐川急便の環境活動について
佐川急便株式会社 木村 洋平様
脱炭素社会、循環型社会、自然共生型社会といった、持続可能な社会の実現に向けた取り組みに積極的な「佐川急便」からは、従前から進めてきた環境対応車の導入実績などが語られました。現在の車両保有台数は約26,000台。うちハイブリッド車やEVなどの環境対応車は約24,000台にのぼり、23年から導入された25台のFCVも含まれます。FCVは、走行中にCO2を排出せず、出るのは水だけというクリーン性能が特長。また、走行音が非常に静かで、住宅地での夜間配送など、騒音低減による地域共生にも貢献します。同社はモーダルシフト※1の推進、再配達削減、CO2排出量可視化サービスなど、多様な活動も展開。プレゼンでは、ペットボトルを再利用して作られたユニフォーム(エコマーク認定品)も紹介されました。
※1 モーダルシフト
トラックによる長距離輸送を鉄道や船舶といった環境負荷の低い輸送手段に切り替えること。排ガスやCO2排出量を大幅に削減できるほか、ドライバーの労働時間短縮や人手不足の解消にも繋がる。


水素社会実現に向けてグローバルサプライチェーンの構築
岩谷産業株式会社 大竹 寿幸様
「岩谷産業」は、実に80年以上前から水素エネルギーを取り扱ってきたパイオニア企業です。2000年代には液化水素製造プラント〝 ハイドロエッジ〟を稼働開始。そのノウハウを生かし、水素の原料調達・製造から供給までを担ってきました。現在、国内での水素製造拠点は液化水素3拠点、圧縮水素10拠点、水素ステーション整備は51ヵ所にのぼります。プレゼンテーションでは、将来需要が期待される分野での水素の需要創出や新アプリケーション開発、水素燃料電池船〝 まほろば〟の開発・建造など、興味深い水素戦略の数々が披露されました。


持続可能な物流の実現に向けたヤマトグループの取り組み
ヤマト運輸株式会社 小澤 直人様
グループ全体で約55,000台の車両と約3,500拠点の事業所を保有する「ヤマト運輸」。気候変動対策にも率先して取り組み、2030年度までに、集配車両の60%にあたる23,500台のEV、810基におよぶ太陽光発電設備の導入といった目標を掲げ、温室効果ガスの排出低減に努めてきました。FC大型トラックの走行実証プロジェクトもその一つ。2023年5月~2025年1月まで、羽田クロノゲートベースから群馬ベース間で実証実験を実施。2025年2月からは福島ベース間で運用を開始し、実際の輸送業務で得たデータをさまざまな課題の抽出や、社会の脱炭素化につなげています。


商用FCEV普及に向けたCJPTの取り組み
Commercial Japan Partnership Technologies株式会社 岡部 啓一様
商用車OEM各社が共同で設立した「CJPT」は、商用領域のカーボンニュートラルへの貢献、物流課題解決、モビリティのCASE技術※2普及に向けた取組を紹介。軸となるのは電動化と物流効率化の2本柱。ニーズに合わせた多様なモビリティの提案や、EV・FCV導入のサポート、ビッグデータを用いた課題解決策やエネルギーマネジメントシステムの提供など、水素モビリティ利活用の旗振り役としての立ち位置についても示されました。FCEVの紹介では、“長い距離・たくさん運ぶ”を強みとするFC大型バスやFC小型トラックなどのスペックにも触れられました。
※2 CASE技術
Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shered & Service(シェアリング/サービス)、Electric(電動化)の4領域における技術革新の総称。持続可能で安全・安心な交通社会を形作る自動車産業の基盤戦略。


燃料電池小型トラックの取組み
株式会社ローソン 黒葛原 恵美様
CO2排出量削減などを目標とした環境ビジョン「Lawson Blue Challenge 2050!」を掲げる「ローソン」もまた、グリーンイノベーション基金事業※3 を活用し、東京、福島でFC小型トラックのプロジェクトを実施しています。次世代自動車の中でも「FCVは走行距離の長さに大きな利点がある」と黒葛原様。燃料コストや燃費の可視化による最適な配送コースの設定・配分など、同グループにおけるFCVの運用状況が紹介されました。さらに、ドライバーからの高評価を受け、騒音対策や労働環境の改善、さらには従業員のモチベーション向上といった観点からもFCVへの期待が語られました。
※3 グリーンイノベーション(GI)基金事業
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、経済産業省とNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が運営する脱炭素化と経済成長の両立を図る官民連携プログラム。研究開発から社会実装まで最長10年間、継続的な支援を行い、目標達成に応じたインセンティブ措置など、実効性の高い基金運営が行われています。


FC商用車向け水素ステーションの現在地
岩谷コスモ水素ステーション合同会社 坂井 涼子様
水素ステーションを運営する側からの提言として、世界的な物流トレンドと日本国内の動向を語ってくださったのが「岩谷コスモ水素ステーション」の坂井様です。東京都の港湾部を中心に拡がる商用FCV向け水素ステーションは現在30基。プレゼンテーションでは、平和島や有明自動車営業所のステーションが紹介され、水素充填技術や、湾岸エリアでの商用FC向け水素ステーションの状況の現在地について説明がありました。また、実際の水素充填シーンや、大型FCトラックがわずか10分程度で充填できる短時間充填についてまとめられた動画も投影され、インフラの実用性を印象付けました。


新型燃料電池大型トラック「日野プロフィア Z FCV」のご紹介
日野自動車株式会社 白石 拡之様
最終セッションは、「日野自動車」開発担当の白石様が登壇し、国内初となる燃料電池大型トラックの量産モデル「プロフィア Z FCV」について説明されました。幹線輸送に見合った積載能力と航続距離を備え、環境性能と実用性を両立した次世代のFC大型トラックです。これまで行われてきた、延べ43万kmを超える走行実証や、そこで得られたデータの内訳、新型車に投入された多彩な機能やスペックなどが語られた他、「とにかく静か」「疲労感が少なく感じる」「非常に加速が良い」といった現場からのドライバーの声についても紹介があり、実用段階に入った手ごたえを感じさせる締めくくりとなりました。


8社の取り組みを通して、物流や水素社会の可能性を改めて実感できる、貴重なプレゼンテーションでした。